『アサシン クリード シャドウズ』の発表と反響
2024年5月15日、ユービーアイソフト ケベックは『アサシン クリード シャドウズ』を発表しました。この新作は、戦国時代の日本を舞台とし、2024年11月15日にリリース予定です。ゲームでは、伊賀忍者の藤林奈緒江と、アフリカ出身の侍・弥助の二人を主人公として操作できます。
しかし、この発表は予期せぬ論争を巻き起こしました。特に弥助の起用に関して、賛否両論の意見が噴出しています。
弥助をめぐる議論
弥助は実在の歴史上の人物で、16世紀後半に日本に渡来したアフリカ系の男性とされていま]。織田信長に仕えたとされる弥助の存在は、日本の歴史において興味深い一面を示しています。
ゲームでの弥助の起用に対し、以下のような意見が出ています:
肯定的な意見:
- 日本の歴史における多様性を示す好機会
- 他のゲームとの差別化を図れる独自の視点
否定的な意見:
- 日本を舞台にしながら日本人ではない主人公を選んだことへの疑問
- 歴史的正確性への懸念
トーマス・ロックリーとWikipedia編集の問題
この論争の中心にいる人物として、トーマス・ロックリー氏の名前が挙がっています[3]。ロックリー氏は弥助に関する研究者として知られていますが、彼のWikipedia編集をめぐって疑問の声が上がっています。
問題とされているのは、以下の点です:
時系列の矛盾:
- 2015年、ロックリー氏と同じユーザー名「鳥取トム」によるWikipedia編集が確認されています。
- この編集では、2016年に発表予定のロックリー氏の著書が引用されていました。
引用元の変更:
- 2017年、弥助に関する記述の出典が、アカデミックな論文からロックリー氏の一般書籍に変更されました。
自己宣伝の疑い:
- 2018年、ロックリー氏の著書が「この分野で世界唯一の本」と紹介されるリンクが追加されました。
これらの編集は、学術的な中立性や信頼性の観点から問題があるとの指摘があります。
ゲーム開発への影響と今後の展開
『アサシン クリード シャドウズ』の開発チームは、弥助を起用した理由について、「創造性を許す余地のある、オープンエンドな物語を持つ侍キャラクターを求めていた」と説明しています。また、ゲームディレクターのシャルル・ベノワは、「外国人の目を通して日本を発見できる」点を強調しています。
一方で、この論争を受けて、ロックリー氏は自身のSNSアカウントを凍結する意向を示しました。彼は「長年のサポートに感謝する」としつつも、ゲームに関連したヘイトメールを受け取っていることを明かしています。
まとめ
『アサシン クリード シャドウズ』の弥助起用をめぐる議論は、ゲーム業界における文化表現の難しさを浮き彫りにしています。歴史的事実と創造的解釈のバランス、多様性の表現と文化的正確性の両立など、多くの課題が提起されています。
同時に、この事例はWikipediaなどのオープンな情報源の信頼性と、それらを利用する際の注意点についても再考を促しています。
今後、ゲームのリリースに向けて、開発チームがこれらの議論にどう対応していくか、また実際のゲーム内容が批判にどう応えるかが注目されます。『アサシン クリード シャドウズ』は、単なるゲームを超えて、歴史認識や文化表現に関する重要な議論の場となりそうです。