緊急地震速報とは?
緊急地震速報(EEW)は、地震の揺れが観測された直後に、各地の揺れの到達時刻や震度を予想し、可能な限り迅速に知らせるシステムです。これは地震の発生を予知するものではなく、地震波が観測された後にその情報を基に予測を行います。そのため、震源に近い場所では速報が間に合わないことがありますが、震源から離れた場所では強い揺れが到達する前に警戒できます。
緊急地震速報の種類
緊急地震速報には大きく分けて「予報」と「警報」の2種類があります。
- 緊急地震速報(予報):最大震度が3以上または長周期地震動階級が1以上と予想される地震が発生した場合に発表されます。1つの地震について数回(5~10回程度)情報が更新されることが特徴です。
- 緊急地震速報(警報):特に強い地震が発生した場合(最大震度が5弱以上または長周期地震動階級が3以上と予想される場合)に発表されます。対象地域に対して端的に警戒を呼びかけるもので、一般にテレビや携帯端末などで見聞きするのはこの「警報」です。
緊急地震速報が発表される条件
緊急地震速報(警報)が発表される条件は以下のとおりです。
- 最大震度が5弱以上または長周期地震動階級3以上と予想される地震
- 震度4以上または長周期地震動階級3以上が予想される地域に対して発表
これらの条件を満たすと、気象庁から緊急地震速報が発表され、携帯電話やスマホに通知が送信されます。
緊急地震速報の通知方法
緊急地震速報は、エリアメールや緊急速報メールという携帯電話会社のサービスを通じて通知されます。気象庁が緊急地震速報(警報)を発表した地域内にある端末に向けて、一斉に通知が発信されます。また、ウェザーニュースなどの民間の情報配信会社が提供するアプリを利用することで、PCやスマホでも緊急地震速報を受信することが可能です。
緊急地震速報の報知音
緊急地震速報が発表されると、特定の報知音が鳴ります。この報知音は、誰もが即座に理解できるように統一されており、テレビやラジオ、防災行政無線などで使われているNHKのチャイム音が推奨されています。この音を聞いたら、すぐに身を守る行動を取ることが重要です。
緊急地震速報の利用に際しての注意点
緊急地震速報はあくまで予測に基づくものであり、誤差が生じることがあります。そのため、速報を受け取った際には、揺れが来るまでの間に身を守る行動を取ることが推奨されます。特に震源から遠い場所では、速報を見聞きしてから強い揺れが届くまでに時間がかかるため、1分程度は警戒を続けることが重要です。
緊急地震速報の実際の運用例
例えば、2024年6月に発生した地震では、以下の地域で緊急地震速報が発表されました。
- 石川県能登
- 新潟県上越
- 新潟県中越
- 富山県東部
- 富山県西部
- 新潟県佐渡
- 長野県北部
- 石川県加賀
- 岐阜県飛騨
- 群馬県南部
- 新潟県下越
- 長野県中部
- 長野県南部
- 群馬県北部
- 岐阜県美濃中西部
- 福井県嶺北
- 岐阜県美濃東部
- 埼玉県秩父
- 福島県会津
- 山梨県中・西部
- 福井県嶺南
- 山形県置賜
- 栃木県北部
- 栃木県南部
- 埼玉県北部
- 山梨県東部・富士五湖
- 愛知県西部
- 滋賀県北部
- 茨城県南部
- 埼玉県南部
- 山形県村山
- 静岡県東部
- 山形県庄内
- 茨城県北部
- 千葉県北西部
- 三重県北部
- 福島県中通り
- 東京都23区
- 宮城県南部
- 福島県浜通り
- 兵庫県北部
- 宮城県北部
- 宮城県中部
- 奈良県
- 東京都多摩西部
- 東京都多摩東部
- 神奈川県西部
- 愛知県東部
- 滋賀県南部
- 神奈川県東部
- 静岡県中部
- 秋田県沿岸南部
- 京都府北部
- 三重県中部
- 京都府南部
- 大阪府北部
これらの地域では、強い揺れが予想されたため、携帯やスマホが鳴動しました。
緊急地震速報の今後の展望
緊急地震速報の技術は日々進化しており、より正確で迅速な情報提供が期待されています。特に、AI技術の導入により、地震の予測精度が向上し、誤報の減少が見込まれています。また、スマートフォンの普及に伴い、緊急地震速報の受信方法も多様化しており、今後もさらなる利便性の向上が期待されます。
まとめ
緊急地震速報は、地震発生時に迅速に情報を提供し、人々が身を守るための重要なシステムです。その仕組みや条件を理解し、適切に対応することで、地震による被害を最小限に抑えることができます。今後も技術の進化により、より正確で迅速な情報提供が期待されるため、引き続き注目していきましょう。